多発する社会保険トラブルに国側も検査権限強化の方向!
自社の加入状態を確認し早めの対応を
法人の事業所等、社会保険の加入義務がありながらも保険料負担を避けるために加入しない事業所はいまだに後を絶ちません。
建設業などでは社会保険に加入しないことで経費を浮かせて、加入している他社よりも安めの見積もりを出すなどの行為もあることから、国土交通省でも社会保険加入についてはチェックを厳しく行っています。
建設業の会社などで社会保険を減額するため、職人に給与と外注(業務委託費)に名目を分けて支払っているケースが見受けられます。
例えば給与15万円、業務委託費45万円、計60万円を支給するといったパターンです。外部に漏れないうちはそれで済んでいますが、職人が退職した場合、
15万円に関する最低賃金制の疑義も含めて実質60万円の給与と認定され、監督署や職業安定所、年金事務所等において応分の対応を迫られます。
未加入によるトラブルは、目先のコストを抑えたいといったちょっとした油断が、後々の大きなトラブルにつながります。
特に従業員にとっては「正当な権利」(権利を受けるのが当然、不利益を受けないのが当然)であり、仮に従業員が承諾・納得済みとはいえ、自身の大けがや退職等の現実が目の前に直面した際、
平常時に気軽な承諾を得ていたとしても、クレームや密告、経理書類を持ち出しての高圧的な対応に出られる場合も往々にしてあります。
社会保険に加入している事業所は約236万社ですが、加入逃れをしているとみられる事業所は約36万社、約15%といわれます。
厚生労働省は社会保障審議会の年金部会において、日本年金機構が強制的な立入検査を可能とする権限強化案を示し、年内に具体案をまとめ、
来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。本来受けられる給付が受けられない場合は、損害賠償請求までされかねないということを、経営者はこれから強く意識するべきでしょう。
JPBMでは会員研修にて中小企業の最新労務問題を取り上げ、その実務対応を検討しました。トラブルが発生する前に、自社の環境を見渡してお早めに専門家に相談してみてください。