後継ぎ遺贈型受益者連続信託における遺留分の取り扱いに注目、自社株の信託活用も併せて検討会テーマに!
民事信託の活用において効果を発揮する一つの手法が「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」です。
例えばオーナーXの事業承継の際に、保有自社株を長男Aに承継させたいが、長男Aが死亡した際にその妻や娘に相続されてしまうのではなく、
別の親族Cに渡したいと考える場合、信託によって次の次の代まで財産の移転先を指定することができます。
その際に問題になるのが遺留分の問題。もともとはオーナー社長の財産ですから、相続の際は、Xの妻や息子、娘等に遺留分が存在します。
信託の場合、上記のように長男Aに受益権を持たせ、長男Aの死後親族Cに承継させる設定をした場合は、
長男Aが死亡したとき、長男Aの信託財産が一旦消滅し、新たに親族Cに受益権が生じると考えます。
したがって長男A死亡時に信託財産の遺留分は生じませんので、妻や娘に信託財産は渡りません。
ただし税法上は、長男Aから親族Cに相続されたとみなす規程があり、相続税が発生します。
JPBM民事信託検討会では、不動産の信託とともに自社株の信託活用に力を注いでいきます。
配慮すべき要素が増えますが、他の手法も踏まえ法務や税務、そして経営と幅広く承継問題を捉える予定です。
(※第7回民事信託検討会に引き続いて行われた共催セミナーにおける志田康雄弁護士の講演より)