広がる民事信託の手法の陰で、誤ったアドバイスも増加、
他の法制度を合わせて検討しながら最適スキームの構築を!
民事信託の手法が少しずつ裾野を広げています。今まで司法書士等法務主導での制度利用が目立っていましたが、昨今税理士による事例や相談が増えてきました。
ただ、実際の信託設計を進める上で、実務上の基本をしっかり押さえていないと、誤ったアドバイスや契約文案を作成して、本来の信託目的を逸脱するものとなりかねません。
JPBM第12回民事信託検討会では、90件という多くの案件を取り扱っている遠藤英嗣弁護士をお招きして、
豊富な実務経験から引き出された以下のような民事信託と周辺法制の鉄則をお話しいただき、検討会メンバーとの意見交換を行いました。
〇信託とは受益者のために使う特別な法令、ただし相談案件の約3割は受託者の好きなように扱える信託もどきのものになっている。
〇帰属権利者が委託者であるスキームを組めば、特定委託者という制度により最初の段階から課税される恐れがある。
〇信託法、遺言・相続法制、税法、登記法、成年後見法の5つの法制度が頭に入って整理されていないと信託は十全に活用できない。
〇登記は誰でも閲覧可能であることに注意する。遺言の代替する箇所を隠さなければ遺産相続の前に争族が発生してしまう
〇老後の安心設計7点セットとして、「見守り財産管理(委任契約)」「任意後見契約」「終末医療への対応」「遺言」「死後事務委任」「信託契約」を組み合わせて対策を考える。
〇任意後見の場合は資格のはく奪がない、例えば会社の役員が脳梗塞になった場合、任意後見を付けて入れば、症状が回復した場合役員の立場が守られる、等。
JPBMでは引き続き相続・事業承継における民事信託のノウハウを高めながら、より確実で有益な実務支援を進めます。