民事信託契約の締結直前で不動産オーナーが死亡、
問われる状況変化への専門家の実務対応力
円滑な相続対策を進めるうえで、民事信託の手法を検討したり実際に活用したりする事例が増えています。
特に不動産オーナーの財産を一定の相続人だけに引き継がせたい場合の手法として、後継ぎ遺贈型受益者連続信託が活用され始めています。
ただし、基本契約が締結できた段階で、オーナーの健康状態が悪化したりお亡くなりになったりした局面における、条項の変更や当事者間調整等が課題となります。
今回JPBM民事信託検討会において報告された事例でもあります。
かねてより委託者である父(不動産オーナー)の信託財産を長男、次男、そして次男の娘(孫)への後継ぎ連続の形で信託契約を取り交わしていましたが、
公証人および債権者(地銀)の承諾を取り付けた矢先にオーナーが死亡。
遺言もなく、長男が内縁の妻(外国人)と正式に婚姻した状況変化もあり、場合によっては紛糾も予想されました。
ものを言ったのは、当初の信託契約書の説明で、私製証書ではあってもオーナーの意向および自筆・印鑑の入った書面を見て相続人全員が承諾・納得していたことです。
契約内容の変更は委託者および第一次受益者を長男・次男・孫に改め、長男、次男の妻にも相応の配分の手当をして、
最終的に孫に信託財産が収れんするスキームで全員の納得を得たとのことです。
今後増加が予想される高齢不動産オーナーの信託活用において、オーナー死亡時にかかる契約変更の一事例として、非常に参考になる報告となりました。
JPBM民事信託検討会では、多士業連携を軸として実務に根差した検討および活発な意見交換によりノウハウの蓄積を行っております。
ますます活用のすそ野が広がる信託手法を、ともに検討したいメンバーを募集するととともに、オーナーや経営者様からの相談に対応します。お気軽にご相談ください。