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ソコが知りたい(1)『包括信託の収益受益権の価格計算について』 

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一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。

相談

『包括信託の収益受益権の価格計算について』

甲が委託者となり、信託銀行と包括信託契約(H26年10月)を結びました。

収益受益者は甲、元本受益者は孫の乙がなりました。信託した内容は甲の証券で待っているファンド3本(①A公社債ファンド②ハイイールド債権ファンド(為替ノーヘッジ型)③B公社債ファンド)をH26年11月に贈与、すなわち信託口座へ移管手続しました。

H27年3月に財産基本通達202に基き、乙の元本部分の贈与税の申告を済ませました。その際、甲の収益受益権の価格を計算する際に、3本から生じた過去の配当実績をもとに福利現価率にもとづいて計算したところ、税務当局からファンド一本一本評価して計算し直し、修正申告するよう指示を受けました。

当局の話では、A公社債ファンドの過去の配当実績が大きいため元本がマイナスになってしまうので、せめて元本0になるところで収益の価格を計算してほしいという意向のようです。信託銀行の話ではあくまでも3本まとめての包括信託なので、一本一本評価する根拠はないということですが、どちらの見解が正しいのでしょうか?

回答

包括信託契約は、受益者が複数の種類の資産を一つの信託行為により引き受ける信託にすぎず、包括信託契約により信託された財産の信託受益権の価額は、信託された資産の種類により異なります。したがって、財産評価基本通達202による信託受益の評価は、資産の種類ごと(ご照会の場合には、①~③のファンドごと)に行うべきです。

 

※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。