児童虐待の現状を踏まえ、民法の懲戒権見直し案まとまる
児童虐待が社会問題になっている現状を踏まえて民法の懲戒権に関する規定等を見直すとともに,いわゆる無戸籍者の問題を解消する観点から検討が加えられています。
懲戒権に関する規定等の見直しでは、現状は親権者が監護教育のために必要な範囲内で子を懲戒することができる(民法第822条)となっていますが、
中間試案では、民法第820条に,親権を行う者は,監護及び教育に際して,子の人格を尊重しなければならないとの規律を加えるとしています。体罰に関しても禁止する文言が検討されています。
また、摘出推定制度に関する規定等の見直しに関しては、現状、
①婚姻成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消等の日から300日以内に生まれた子は,(元)夫の子と推定する、
②この推定は夫が子の出生を知った時から1年以内に嫡出否認の訴えを提起しない限り,覆すことができない、となっています。
それに対して中間試案では、○婚姻成立後に生まれた子は,婚姻成立の日から200日以内に生まれた子であっても,夫の子と推定する。○婚姻の解消等の日から300日以内に生まれた子は,元夫の子と推定する(現行法どおり)。
ただし,母が元夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は,再婚後の夫の子と推定する、としています。
また再婚禁止期間の見直しでは、女性の再婚禁止期間に関する民法第733条の撤廃が検討されています。併せて、嫡出否認制度に関する規定等の見直しも進められています。
同中間試案は、パブリック・コメントを令和3年2月25日から同年4月26日まで募集しており、日本弁護士連合会や東京・大阪の各弁護士会、司法書士連合会等から意見書が提出されています。
JPBMでは、会員専門家の連携を進める中で、今回の民法改正等制度見直しを実務支援に落とし込みながら、お客様の課題解決に対応します。