過大役員退職金判定で功績倍率の1.5倍が棄却、
今後の成り行きに注目
東京高裁はこのほど、役員退職給与の損金算入を巡り昨年10月に出された東京地裁判決の納税者勝訴部分を取り消し、納税者側の訴えを全面的に退けました。
法人税法では、役員退職給与(役員退職金)は、原則損金算入が認められています。法人にとっては額が大きいだけ節税メリットが増え、個人のメリットも膨らみます。
ただし「不相当に高額」な場合等は、損金算入が認められません。役員退職給与の額は大きな関心事になっています。
今回の裁判では「平均功績倍率の1.5倍」という算定方法の妥当性が争われました。
地裁では、課税庁の調査による同業類似法人の平均功績倍率を1.5倍した倍率で算定した額までは一定の合理性を認め、法人税法34条2項の「不相当に高額な部分」に当たらないとしました。
それに対して高裁は、同業類似法人の抽出が合理的に行われる限り、本事案の同給与相当額の算定には平均功績倍率法が法令の趣旨に「最も合致」するとしました。
さらに、平均功績倍率により判断するのは現に対象となっている法人の退職給与額の相当性であり、
同判断の資料となった類似法人の退職給与額の相当性ではない、と指摘。平均功績倍率3.26までが相当でそれを上回る部分を不相当に高額な部分だと認定しています。
今回の判決が確定するかどうかは未確定ですが、引き続き注目が必要です。
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