一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『過少資本税制について』
質問(1)
内国法人が国外の親会社から借入をしており、その支払利息について過少資本税制(措法66の5①)が適用される状況にあります。この支払利息を免除してもらった場合、支払利息の免除益と支払利息が相殺され、所得に影響を与えないという理解でいます。
しかし、実質的には一旦、支払利息が計上されていて、過少資本税制が適用され、支払利息について損金不算入の計算を行うとともに、免除益について益金算入の計算を行う必要があるのでしょうか。
質問(2)
そもそも無利息の借入の場合。過小資本税制の取扱いはどうなるのでしょうか。
回答
質問(1)過少資本税制と債務免除の関係
1.過少資本税制は、内国法人が海外の関連会社から資本提供を受ける際に、出資に代えて過大な貸付けを受け入れることにより、課税負担を軽減しようとする法人の租税回避を防止するために、出資と貸付けの比率が一定割合を超える場合には、その超える部分に対応する支払利子の損金算入を認めないとする制度です。(措置法66条の5)。
2.一方、質問事案では債務免除の理由は不明ですが、当初の契約で確定した支払利子が免除されたのですから債務免除益は生じることになります。
従って、1と2は別途の税務処理が必要となりますので、ご質問における貴見の後半の考え方が、税法及び企業会計の処理として妥当と考えられます。
つまり、支払利子については、益金不算入の計算を行い、支払免除された金額については、収益に計上することとなります。
質問(2)無利息借入と過少資本税制との関係
過少資本税制は、内国法人が損金にならない支払配当に代えて損金算入が可能な支払利子により税負担の軽減を図る企業の租税回避を防止するために創設された制度ですので、損金に算入可能な支払利子が発生しない無利息借入の場合は、その適用はありません。
なお、無利息にする合理的理由がわかりませんが、資金を提供する国外支配株主等の国の税法が、我が国の法人税法と同様な思想であれば、無利息にする理由により「経済的利益の贈与」になり寄附金になる場合もあると考えられます。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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