一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『不動産相続人の消費税の納税義務について』
不動産事業を行っていた被相続人Aは令和4年4月に亡くなり相続が開始。
Aが所有していた事業用不動産の相続について、相続人B(不動産業を行っている)と相続人C(事業所得なし)の遺産分割協議が成立しなかったため、分割協議期間中における不動産収入については法定相続分に応じて(50%づつ)所得税の確定申告をすることとなりました。
各人の消費税に関する金額は以上です。
・被相続人A 令和2年分10,083,791円 令和3年分10,357,468円 令和4年分2,942,594円(準確定申告額)
・被相続人B 令和2年分12,418,270円 令和3年分13,863,105円 令和4年分19,867,226円(相続分含み)
・被相続人C 令和2年分0円 令和3年分0円 令和4年分3,177,487円(相続分含み)
回答
①に関しては次のように定められています。
免税事業者である個人事業者が、相続により被相続人の事業を承継した場合の納税義務の有無については、その年の相続があった時は、基準期間(令和2年)における被相人の課税売上高(10,083,791円)が1000万円を超えていますので、納税義務ありとなります。
②に関しては、次のように定められています。
・基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高等が1000万円超となった事業者は、「消費税課税事業者届出書」を速やかにな所轄税務署長に提出しなければならない。「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」も同様と考えられます。
・これらの届出書は、届け出により何らかの地位を取得するものではなく、もっぱら税務署長が申告書・納付書等を納税者に送付するための便宜のために定められたものと考えます。従って、納税者に特別な地位等の付与等はないと思われます。この点で免税事業者が課税事業者を選択するための「課税事業者選択届出書」とは本質的に異なるものです。
・免税事業者が「課税事業者届出書」を提出しても、基準期間の課税売上高が1000万円超でない限り納税事業者になることはありません。
・「消費税簡易課税制度選択届出書」は、消費税を計算するときの計算方法の選択ですから、納税義務の有無に関するものではありませんので、届出により課税事業者になることはありません。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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