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ソコが知りたい(62)『有価証券の評価損が認められる場合について』

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一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。

相談

『有価証券の評価損が認められる場合について』

株式会社A社は、30年前から取引先のB社の株式(非上場株式)を1,000株所有しています(所有持株割合:3%)。
帳簿価額50,000千円ですが、直前の株価が8,000千円まで下がっています(10年以上株価が業績不振により低迷)。
この場合、法人税法の「有価証券の評価損が認められる場合」の「…有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が悪化したため、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと」の、「著しく低下」とは、例えば帳簿価額と比較し時価が何%下落したら損金算入(特別損失計上)可能でしょうか。因みに、会社更生法などの法的手続きはありません。今後も継続して業務を行っている会社です。
現在の配当還元価額は、1株865,5円になります(B社からの報告)。
 

回答

1.非上場の有価証券について評価損が計上できる事実として「その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと」があります(法人税法施行令68①ロ)。
これに関する法人税基本通達9-1-9(2)で「発行法人の1株当たり純資産価額が当該有価証券を取得したときの発行法人の1株当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと」とされています。
従って、概ね、純資産価額で比較して50%以下になった時には評価損が計上できると解釈できます。

2.注意すべきは、取得時点と評価時点の1株当たりの価額は、「純資産価額」のよることとされている点です。法令68で「法人の資産状態が著しく悪化したため」と規定されていることから考えて、純資産価額で比較すべきことは明らかです。
従って、株式の所有割合が3%と少額だからといって、配当還元方式によることはできないことになります。というのは、支払配当は、一般的に会社の資産状態に関係なく会社の決定により行えるからです。支払配当の額は、会社の資産状況を反映しているとは必ずしも言えないことによるものだからと考えます。

3.会社の帳簿価額について
・株式の帳簿価額は1株当たり50,000円と見積もられますので、額面価額での発行と想定されます。これがその時点での時価を反映したものであればよいのですが、仮に何らかの事情があって時価よりも高額で引き受けたのであれば、その要素を除外して取得価額の純資産評価額を算定することが必要と考えます。
・直前の株価が8,000円とありますが、算定方法はどういう計算をしたのでしょうか。配当還元による価額を純資産価額と同一視して扱うことはできません。

※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。

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