一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『法人成りの時の個人と法人の売上と経費について』
個人事業の時にコンペに参加し合格したことにより工事の案件を受注できました。
その案件については、設立したばかりの法人で契約しました。
個人当時に支払った経費のうち、この案件のコンペのために支出した経費(外注費、コンペに対応する消耗品費、コンペ参加のための交通費など)は売上と売上原価を対応させるべきことを考えると、コンペのための支出については法人の経費となると考えます。
具体的には、個人事業の引継の時に未成工事支出金の様な資産となり、法人では売上に対応した仕入(売上原価)となると考えます。
消費税については法人の方では仕入税額控除の対象にならないと考えておりますがどうでしょうか?
その案件については、設立したばかりの法人で契約しました。
個人当時に支払った経費のうち、この案件のコンペのために支出した経費(外注費、コンペに対応する消耗品費、コンペ参加のための交通費など)は売上と売上原価を対応させるべきことを考えると、コンペのための支出については法人の経費となると考えます。
具体的には、個人事業の引継の時に未成工事支出金の様な資産となり、法人では売上に対応した仕入(売上原価)となると考えます。
消費税については法人の方では仕入税額控除の対象にならないと考えておりますがどうでしょうか?
回答
1.法人成りで個人資産を法人へ移転したときには、個人においては資産の譲渡、法人においては資産の仕入・購入と認識します。
2.所得計算においては、売上とその原価を対応させるべきですから、お考えの通り、個人側においては、その支出は未成工事支出金(棚卸資産)として把握・計上し、これを法人に譲渡したことになりますから、通常の売上とします。したがって、所得計算では売上、消費税では課税売上となります。
3.この際の未成工事支出金の算定ですが、お聞きした経費のほかに、人件費がかかっていると思われますので、この金額を見積もって含めることもできると思います。単なる原価の積み上げの計算ではなく、他に販売するときの価額がこの場合の計算基準になるからです。
4.この結果、個人の消費税では課税売上が発生し、未成工事支出金相当額は日常の経費処理において課税仕入とされることになります。
法人においては、未成工事支出金分は棚卸資産の購入として、課税仕入となります。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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