一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『事業承継の特例経営承認期間後に「認定の取り消し」を行う場合について』
令和6年3月31日現在、株式会社Aと代表者Bは、「特例相続承継会社(第1種)」及びその代表者として、相続税の納税猶予(1,300万円)を受けています。
令和7年8月11日に、特例承認期間(5年間)を経過します。
令和7年9月30日に、代表取締役Bは、株式会社Aから1,300万円を借入し、令和7年10月1日に「自発的な猶予の取消申請」を行い、同日猶予を受けていた相続税額1,300万円を納付する予定です。
代表取締役Bに対する貸付金は、今後定期的に(1年又は半年ごと)に賞与・配当金・自己株式の取得などにより1300万円の返済を予定しています。
上記の処理を行う場合、問題点があれば教えてください。
令和7年8月11日に、特例承認期間(5年間)を経過します。
令和7年9月30日に、代表取締役Bは、株式会社Aから1,300万円を借入し、令和7年10月1日に「自発的な猶予の取消申請」を行い、同日猶予を受けていた相続税額1,300万円を納付する予定です。
代表取締役Bに対する貸付金は、今後定期的に(1年又は半年ごと)に賞与・配当金・自己株式の取得などにより1300万円の返済を予定しています。
上記の処理を行う場合、問題点があれば教えてください。
回答
1.経営承認円滑化法(相続)の認定事由として23項目が掲げられており、その中に「自発的な猶予の取消申請をした場合があり、その場合には「様式第10-2」により取消申請をすることとされています。
この制度は、認定を受けるには高いハードルが求められると思われますが、自主的に申請して認定の取り消しを受けるには、特に要件は定められていないようですので、問題はないと思われます。
納税は、猶予期間の利子税を含めて納税することが必要です。
2.会社Bがその代表取締役に金銭を貸し付ける行為は、以下の取消し事由に当たらない限り問題はないと思います。
・資産保有会社に該当する
・資産運用会社に該当する
・総収入金額ゼロの会社に該当する。
3.自発的な認定申請の手続き
・認定をした都道府県知事に対して、「認定の取消し申請書」(様式第10の2)を提出します。
・相続税申告書を提出した税務当局では、猶予している相続税額を管理しているはずであり、また担保の提供があると思われますので、「猶予の取消し」があった旨の届出が必要かと思います。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
※JPBMへの経営相談をご希望の方は、下記フォームよりお問合せください。