一般社団法人JPBM(日本中小企業経営支援専門家協会)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『たまたま棚卸資産を売却した場合の、所得税の所得区分及び簡易課税の事業区分について』
個人A(不動産賃貸業)が保有する給湯器(貯蔵品)を1台(購入価額132,000円)を、たまたま同人が主宰するB法人へ売却しました。B法人では、業者に依頼して55,000円の取り付け料を負担して事務所に取り付けました。この場合、個人Aの所得税の所得区分及び簡易課税の事業区分はどうなりますでしょうか。
回答
1.単純に考えると、買ったものをそのまま売却したので、卸売り又は小売りとなるのでしょうが、個人Aはそれを事業としてるわけではありませんから、そうは言えないと思います。
個人Aが給湯器を保有していたのは、自己の賃貸物件の改修のためですから、所得区分は不動産所得になると考えます。
また、個人Aは自己の事業のために保有していたものであり、個人使用のための資産でもありませんから、雑所得ということにもできません。やはり、不動産賃貸業の附属事業と見るべきでしょう。
2.当該給湯器の保有は、自己の賃貸物件の給湯器の交換目的ですから、B社への売却もその一環のものと理解することができます。
消費税簡易課税の事業区分において、不動産賃貸業者が、退去後の部屋のクリーニングや機器の交換等のリフォームを外部業者に依頼し、その費用として退去者から受領する対価は、「第3種事業」の対価とされています。建設業の一環としているのでしょう。
今回の給湯器のたまたまの売却も、この事業の一環として考えることができますので、第3種事業でよいと考えます。
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