信託受益権の複層化利用で実務上課題を残す評価の問題、民事信託検討会で徹底検証!
民事信託は、不動産オーナーの高齢化にともなう後見制度や遺言等の保管機能として、その活用が増加しています。
大手信託銀行の民事信託スキームに伴う信託口座開設の依頼件数は順調に増加していて、信託契約書内容の正確性も高まっているといいます(7割は司法書士からの依頼)。
民事信託の有用分野として最もポピュラーなものは、受託者による後見分野の代替的機能(認知症対策)が挙げられます。
スキームを組むうえで検討を要する事項としては(1)受託者の不動産の管理処分機能と不動産の金融債権者との関係(2)受益権の複層化における元本受益権の評価の問題
(3)受益者の死亡による受益権の相続と信託財産責任分担債務の相続(4)信託の終了・清算と残余財産(含む債務)の帰属、等があります。
特に(2)の受益権が収益受益権と元本受益権の複層になっていて、受益者が異なる場合の課税がどうなるかは必ずしも明確ではありません。
元本受益権の価格は、信託した財産の価額から収益受益権の価額を控除したものとされているため、収益受益権の価額が高ければ元本受益権の価額は低くなります。
元本受益権を取得した者は、信託終了後残余財産を取得し使用収益できるので、軽い贈与税、相続税負担で財産を承継できるとの見解もあります。
但し収益受益権者が死亡した場合には、その権利を遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税の対象となるという見解もあり、
このような場合には、受益者連続信託に準じて元本受益者は相続税評価額全額が課税される可能性があるのではないかとの見解もあります。
いずれにしても法制や通達等の想定が行き届いていない部分であり、ましてや株式における複層化スキームの利用は株価の変動等の影響も少なくなく、輪をかけて不明瞭さが目立ちます。
JPBM民事信託検討会では、上記のような実務課題を税務、法務面から議論検証し、問題点を明らかにしながら解決策を提示します。