一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『相続税計算における小規模宅地の適用の可否について』
相談
『相続税計算における小規模宅地の適用の可否について』
1. 事象及び経緯
(1)被相続人 平成27年1月死亡
(2)相続人 養女1名
(3)相続財産 家屋(店舗併用住宅)及びその敷地(60㎡程度)
(4)相続財産の用途
相続開始時において家屋の一部35%程度を賃貸のように供していた。
相続開始時において被相続人は当該相続財産に住居を有していた。
(5)相続財産は昭和33年築であり老朽化の問題から建て替える必要に迫られていた。
(6)相続人は被相続人の賃貸事業を相続後も継続して行っていた。
(7)相続人は家屋の建替えを計画に伴い平成27年8月にて賃貸借契約を解約した。
(8)平成27年9月現在相続財産は空家となっている。
(9)これから相続財産を解体し建替(平成27年末から平成28年初頭竣工予定)である
2. 相談事項
(1)貸付事業としての小規模宅地の評価減の適用について
①相続税の申告期限までに家屋を解体した場合
建て替えた後の家屋も用途は従前同様賃借併用住宅とする予定であるがこの場合において50%評価減
の適用を受けられるか?(貸付事業の継続要件をみたすのであろうか?)
②相続税の申告期限までに家屋を解体しなかった場合
現状では相続財産家屋は空家であるがこれを相続税の申告期限まで保有し続けた場合において50%
評価減の適用を受けられるか?(必要であれば賃貸の募集広告を出すことも可能であります)
(2)特定居住用宅地としての小規模宅地の評価減の適用について
①相続人には配偶者がいるが相続人配偶者ともに自宅を有していない。
②建て替えた家屋に今後転居してくる予定であるがこの場合特定居住用宅地として小規模宅地の評価減
の適用を受けることができるか?
回答
被相続人が居住していた店舗併用住宅には、相続開始の直前において被相続人と同居していた親族はおらず、また、相続人(養女)は被相続人と生計を一にしていなかったという前提で回答します。
1 相談事項(1)について
相続人がご照会の相続税の申告期限までに店舗併用住宅を解体したかどうかを問わず、相続人は、相続開始時から相続税の申告期限まで引き続き店舗併用住宅の敷地である住宅を貸付事業の用に供していませんから、相続人は措置法第69条第3項第4号イに規定する親族に該当しません。
したがって、相続人が取得した賃貸併用住宅の敷地である宅地は、同号に規定する貸付事業用宅地等に該当しません。
2 相談事項(2)について
相続人は、措置法第69条第3項第2号ロに規定する親族に該当します。
したがって、相続開始の直前において賃貸併用住宅の敷地であった宅地のうち住宅の敷地に該当する部分は、同号に規定する特定居住用宅地等に該当します。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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