一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『解散する法人の清算について』
有限会社A社は平成20年2月に株主総会の決議により解散しました。しかし、債務超過で清算はまだおこなっておりません。申告は毎期予納申告書を0円で提出しております。今般債権者に債権放棄をしてもらい清算が可能になりますが、清算所得に対する課税はどのようになるのでしょうか。
債務免除益は1億円以上と多額になりますが、最終的な財産はなにもありません。繰越欠損金はすでに切り捨てになっております。
回答
清算確定事業年度の法人税の算定方法について
1.清算所得課税
従来、内国法人である普通法人が解散した場合、清算所得について清算所得に対する法人税を課すこととされ、清算中に生じた各事業年度の所得に対する法人税を課さない(各事業年度の所得について予納申告をする。)こととされていました(旧法93①)。
2.通常所得課税への移行
平成22年10月1日以後に解散した上記法人に対しては、解散後も各事業年度の所得に対する法人税を課すこととされました(法5)。
同日前に解散が行われた場合における法人の清算所得に対する法人税については従前どおりとされています(改正法附則10②、改正法令附則2②、27、改正法規附則2②)。
3.債務超過の法人の残余財産の範囲
(1)清算所得課税では、残余財産の価額を基礎として清算所得を確定することになります。
内国法人たる普通法人等が解散した場合には、清算所得に対して法人税が課せられます(旧法5)。
清算所得に対する課税は、法人が解散して残余財産を分配する場合において、その残余財産の価額が法人の解散時の資本金等及び利益積立金等の合計額を超えた場合、その超えた金額に対してなされることになっています(旧法93①)。
この場合の残余財産は、通常は債務を弁済した後の金銭に換価された資産をいいますが、現物で分配されることもあり、最終的に株主に分配することができる財産の総額をいいます。
債務の免除(相手方は債権放棄)を受けた場合は、その金額相当分の金額が債務から控除されることになります。
(2)通常所得課税では債務免除等があった場合には残余財産がないにもかかわらず税額が発生する場合があることとなります。そこで、このような場合に対応するため、残余財産がないと見込まれるときには、所得の金額を限度として期限切れ欠損金を損金算入することにより、税額が生じないようにするものです。
4.質問法人(A社)の場合)
A社は、平成20年解散ですので「清算所得課税」になり、残余財産の価額を基礎として清算所得を計算することとなります。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
※JPBMへの経営相談をご希望の方は、下記フォームよりお問合せください。