一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『固定資産の除却損について』
A株式会社が所有する建物が、公共事業用資産の買取り等により収用されました。買取等の区分は取り壊しです。期限までに建物を取り壊し、収用金額を受領しました。今年の3月決算で固定資産について確認をしたところ、収用された建物の簿価が除却処理されておらず、残った状態の財務諸表になっておりました。
取締役会の承認もすでにされており、これから財務諸表を変更することができない状況にあります。
そこで、別表四により簿価の除去額を減算処理して所得計算を行おうと考えております。
今回、除却損の損金処理を行っておりませんが、除却損も減価償却費のように損金経理が要件になっているのでしょうか。
回答
1 法人税法では、法人が有する減価償却資産を廃棄等した場合には、その資産の帳簿価額から廃棄等の見積額を差し引いた金額は、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入する旨規定されています(基通7-7-1)。
2 法人が何らかの事由で、期末までに減価償却資産が廃棄されたにもかかわらず、除却損を計上しなかった場合には、上記取扱いにより申告調整により所得金額を減算しなければなりません。
3 減価償却資産に係る除却損は廃棄等が要件で損金経理は要件になっていませんので、上記1に該当した場合は、上記2により調整する必要があります。
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