一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『確定申告におけるFXの繰越控除について』
確定申告におけるFXの繰越控除について以下2点ご教示願います。
【質問1】
A氏の平成28年度所得は①給与所得と②公的年金の所得で、期限内に確定申告書を提出しています。
ほかに③FX(雑)の損が、1,000,000円ありましたが、確定申告書提出時に、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」及び「付表 繰越損失」の添付提出をしませんでした。
平成29年度所得は①給与所得と②公的年金、③FX(分離雑)…500,000円の益でした。
このとき、A氏の平成28年度所得のFX(雑)の損失を、更正の請求書とともに上記計算明細書と付表を提出し、平成29年度の確定申告時に、平成29年度所得のFX(分離雑)の益から、繰越控除することは出来ますでしょうか。それともFXの分離雑の繰越損失は宥恕規定がないため、更正は提出出来ないでしょうか。
【質問2】
B氏(A氏の奥様(専業主婦))の平成27年度の所得は①FX(分離雑)…2,000,000円の損です。
平成28年度の所得は①FX(分離雑)…2,100,000円の損です。
平成29年度の所得は①FX(分離雑)…500,000円の益です。
いずれも今現在まで、確定申告書の提出はしていません。
今回、3年分まとめて確定申告書を提出し、平成29年度のFXの益および、平成27年度と平成28年度の損から控除し、残を繰り越すことは可能でしょうか。
回答
FXに係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額の繰越控除は、当該損失が生じた年分の所得について当該損失の金額の計算明細書その他所定の書類を添付した確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用されます(措置法41の15③)。
(質問1)A氏の課税関係
平成28年分のFXに係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額について、当該損失の金額の計算明細書その他所定の書類を添付した平成28年分の確定申告書を提出していませんので、平成28年分のFXに係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額を平成29年分のFXに係る雑所得の金額から繰越控除することはできません。
(質問2)B氏の課税関係
平成27年分・28年分のFXに係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額について当該損失の金額の計算明細書その他所定の書類を添付した平成27年分・28年分の確定申告書を提出したうえで、平成29年分の確定申告書を提出すれば、平成27年分・平成28年分のFXに係る雑所得の金閣の計算上生じた損失の金額を平成29年分のFXに係る雑所得の金額から繰越控除することができます。
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