一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『入居者有りの販売用建物(アパート)を取得した場合の課税仕入れの区分について』
A社(12月決算法人)は不動産業を営んでおりますが、賃貸中のアパートを転売目的で入居者付きで取得いたしました。取得したアパートは棚卸資産に計上し、このアパートが売却されるまで(取得後1~2ヶ月で売却予定)の家賃収入は、A社の収益として計上します。
この場合の仕入税額控除について、個別対応方式を適用する場合の下記課税仕入れの区分についてご教示願います。
【質問1】
当該アパートについては転売目的で取得したことから、当該アパートの取得費は「課税売上対応課税仕入れ」に区分することができますでしょうか。
【質問2】
質問1について、転売目的と家賃収入を得る目的の両方に対応するため、当該アパートの取得費が「共通対応課税仕入れ」に区分されることとなった場合、仮に当該アパートの保有期間に係る家賃収入について、その売却先(買い手)との契約等でその家賃収入を買い手に帰属することとした場合(=A社は預り金計上し、売却後に買い手に送金)、当該アパートの取得費は「課税売上対応課税仕入れ」に区分することはできますでしょうか。
回答
【質問1】受取家賃を収益に計上した場合
取得した建物の仕入税額控除は、貸付のために取得した資産(収益を得るため)と転売目的の2面の目的があり、住宅の貸付は、非課税となる(法別表1十三)ため、個別対応方式を選択する場合は、いわゆる、共通対応課税仕入れとなります。
(質問2)家賃収入を契約により預り金と処理する場合
取得した建物は、棚卸資産となり、個別対応方式を選択する場合の、課税仕入れ等の税額は「課税資産の譲渡等にのみ」に該当することになります。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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