一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『満期保険金の一時所得の計算について』
下記の生命保険が満期になったため、満期受取人の理事長A氏の個人口座に受取保険料が振り込まれました。
①契約者 医療法人F社
②死亡保険金受取人 医療法人F社
③満期保険金受取人 理事長A氏
④被保険者 理事長A氏
⑤契約日 2012年7月1日
⑥責任開始日 2012年6月29日
⑦引受承諾日 2012年8月2日
⑧保険期間の終期(満了日) 2022年6月30日
⑨満期日 2022年7月1日
⑩保険種類 変額保険(有期)10年払い済み
上記保険を10年間(毎月)、医療法人が保険料を支払ってきました。ただし、保険料の1/2 の金額を、理事長の毎月の給与から天引きし、医療法人の経費のマイナス(保険料勘定のマイナス)で経理処理してきました。この場合、個人の一時所得になると思いますが、今まで理事長が法人に給与天引きの形で、医療法人へ支払った負担金は、一時所得から差し引く既い保険料として、一時所得の計算処理することができますでしょうか。
回答
(1)満期保険金に所得税が課される場合には、一時所得とされています。
一時所得の計算
《満期保険金+配当金-払込保険料総額-特別控除額(50 万円)》×1/2
ここにいう「払込保険料総額」は、質問の保険の場合には、A氏が負担した保険料、すなわち、A氏の給与から天引きした保険料充当額の累計額と考えられます。従って、一時所得の計算上「払込保険料総額」として控除します。
(2)この保険は、「死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人である場合」・・「法人が支払った保険料の1/2 の相当する金額は資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金に算入する」という国税庁の説明の例に類似しています。もし、この保険金について保険積立金が計上されているならば、保険満期時にその額を損金に算入することになります。会社支払の保険料の1/2 の損金算入が認められている保険でしたら、会社の処理は不要です。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
※JPBMへの経営相談をご希望の方は、下記フォームよりお問合せください。