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ソコが知りたい(52)『設立1期目の消費税の納税義務の有無について』

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一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。

相談

『設立1期目の消費税の納税義務の有無について』

A社(株式会社、令和4年3月7日設立、2月末決算、資本金300万円 株主構成 個人甲99%、個人乙1%)
個人甲の主宰会社 株式会社B 甲が代表取締役
株主構成600株のうち 甲:200株 甲の親:200株 資本金600万円
課税売上高 令和2.30期 438,987,000円:5億円以下
令和3.9.30期 741,151,000円:5億円超

A社の第1期(令和4.3.7~令和5.2.28)の消費税の納税義務はどうなるでしょうか。
 

回答

設立1期は、消費税の免税事業者になります。

設立2期は、消費税の課税事業者になります。

<検討>
・資本金1000万円未満の新設法人は基準期間がないことから基本は消費税の納税義務が免除されますが、「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」に該当する場合には、消費税の納税義務が免除されないこととされています。

・「特定新規設立法人」とは?
基準期間のない法人の内、次の①及び②のいずれのうちにも該当する法人
①その基準期間のない事業年度の日において「特定要件」に該当すること
②新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった「他の者」及びその「他の者と特殊の関係にある法人」のうちのいずれかの者の、その新規設立法人の新設開始日の属する事業年度の「基準期間の相当する期間」における課税売上高として、一定の方法により計算した金額が5億円を超えること

・特定要件に該当しているか?
「他の者」(この例の場合は甲)が、新規設立法人の50%超を有する場合に該当しますので、①の特定要件を満たしています。

・基準期間相当期間において、「他の者」の課税売上高が5億円を超えているか?
この例では、甲とB社が特定要件の判定の基礎になっています。

A社の第1期
「設立の日2年前の前日~1年間に終了した事業年度がある時」
(4.3.7の2年前の前日の6日)~(3.3.5)…の間に終了した事業年度
2.3.6~3.3.5の間に終了したB社の事業年度(2年9月期)の課税売上高は438,987,000円→5億円以下
よって、②の要件を満たさない…免税

A社の第2期
「設立の日1年前の前日~設立日の前日までに終了した事業年度がある時」
(4.3.7の1年前の前日の6日)~(4.3.6)…の間に終了した事業年度
3.3.6~4.3.6の間に終了したB社の事業年度(3年9月期)の課税売上高741,151,000円→5億円超
よって、②の要件を満たす…課税事業者
 
 
☆《追加質問》☆

「被支配特殊関係会社」とは、「他の者と生計を一にしない他の者の親族」の範囲について』 

【質問内容】
A社の大株主である甲が出資しているB社は、甲グループの完全支配にある会社ではないと思われます。
というのは、B社のもう1人の株主である甲の親(丙とします)が別生計であることから、「被支配特殊関係法人」(法令25の3②)に当たり、特殊関係法人から除外されるため、完全支配関係とは言えないのではないでしょうか。
 
【回答例】
1.新設法人が支配される場合として、令25の2①二号で「当該他の者及び次に掲げる者」の出資が50%超である場合と規定されています。
そして、その判定の範囲について以下のようになっています。
イ.当該他の者の親族
ロ.当該他の者(当該他の者が個人である場合には、イに掲げる当該他の者の親族を含む)
ハ以下は「特殊関係のある法人が…他の法人を完全に支配している場合の他の法人」
・これを当てはめると、「イ(甲)とイ(甲)の親族が完全に支配している法人」ということになりますので、B社は「完全に支配される法人」になります。

2.疑問を抱かれるのは、第3項にある「ロからハまでに規定する他の法人が完全に支配している場合とは」のところかと思います。
令25の3において。「非支配特殊関係会社」を定義し、これを「特殊の関係にある法人」から除外していることです。
「非支配特殊関係会社」とは「他の者と生計を一にしない他の者の親族」という書き方が、「他の者+親族」なのか「他の者を含まない別生計の親族だけ」なのかで意味が違ってきます。
前者ですとB社は特殊関係者から除外され、完全支配とはなりません。
後者ですと、「別生計の親族だけで完全支配になる法人」というわけで、B社は除外されません。

3.正しくは後者だと思います。
1で引用した規定では「当該他の者及び次に掲げる者」とあり、甲+親族です。
「非支配特殊関係会社」とはでは、「他の者と生計を一にしない他の者の親族」の箇所では規定ぶりに違いがあり、「甲を含まない親族」だけの完全支配の法人と読むべきでしょう。

4.この規定の趣旨を考えると、特殊関係法人は甲のグループに取り込むが、生計を別にする親族の完全支配にある法人まで取り込むことまではしなくてよいという判断ではないでしょうか。
また、質問のような事例を取り込むことにしないと、目的とする規制にはならないと思われます。

※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。

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