一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『持株会社である法人(非上場)が実施する記念配当(特別配当)の法人税法の適用について』
同族株主である代表取締役社長が、当該法人からの借入金を返済する資金を作るため、例年より大きい金額の株主配当を実施する予定です。
当該法人は今期は10期目にあたることもあり、株主配当が当該法人の株価に大きく影響しないように、記念配当として実施するつもりです。
会社法上の配当可能限度額が問題にならない範囲で実施することは当然ですが、配当金額が大きすぎると税務上、問題にならないか懸念しております。
この記念配当に関し、税務上の制約を課すような規定はあるでしょうか?
<法人の財産状況(参考)>
□総資産:1,227百万円
・現金及び預金:105百万円
・関係会社株式:1,122百万円
□負債:1百万円
□純資産:1,226百万円
・資本金:1百万円
・資本準備金:315百万円
・その他利益剰余金:910百万円
回答
非上場会社である株式発行会社がその株主に対して配当を行う場合に、会社法の規定に従って行われる限り、法人税法上の制限等はないと思われます。
なお、配当の受領者が個人(ご照会事例の代表取締役)の場合、配当を行う会社は源泉徴収を行う必要がありますが、非上場株式の配当金については、20.42%の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要があります(地方税なし)。
また、配当を受領した個人は、1回の配当金額が10万円を超える場合は、確定申告を行う必要があり総合課税になるため、その者の配当金以外の所得によっては累進税率が高くなるので注意する必要があります(配当控除は適用可)。
当該配当が1回限りなのか、数年続くのかにより、非上場株式の評価において、第4表の類似業種比準価額の計算上、「非経常的な配当金額」に含めるべきか否かの問題くらいでしょう。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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