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ソコが知りたい(69)『形式上の貸倒損失の適用可否について』

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一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。

相談

『形式上の貸倒損失の適用可否について』

納税者は、個人事業者です。
・太陽光発電の装置・工事・土地代などとして3000万円の契約をして支払った。
・平成28年12月、S社から納税者に、工事遅れの承認として毎月25万円を支払う覚書を交わし、以後定期的に入金があった。
・令和4年9月を最後に入金が途絶え、令和4年11月入金催促の内容証明を送ったが、5年11月時点で連絡がない。
・令和4年4月に東京国税局査察部の調査を受けたとのニュースあり。
脱税した所得は3億5200万円、会社と代表者が起訴された。
S社の支払能力は判定できないが、「形式上の貸倒」として残り1500万円について、令和5年中に貸倒損失として処理して問題ないでしょうか。
 

回答

1.所得税基本通達51-13(形式的に債権が消滅している場合)において、一定の形式に該当する債権について貸倒損失の計上げできることになっていますが、単に1年以上取引や入金がないことだけをもって認められているわけではありません。

2.以下の要件に該当する債権に限るとされています。
①売掛債権であること(売掛金、未収請負金その他これらに類する債権であること)
これには、貸付金その他これらに準ずる債権を含まないとされています。
②継続的な取引を行っていた者につき、資産状況、支払い能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合であること
例えば、不動産取引のように同一人に対する通常継続して行うことのない取引には適用がないことに留意する(法人税基本通達逐条解説の解説)。

3.この取扱いによれば、問題となっている債権は納税者の売上に係る債権ではなく、分類上は貸付金に準ずる債権と考えられますので、形式基準によって貸倒損失計上できる債権には該当しません。
また、単発の取引であることから、そもそも形式基準が予定している取引により生じたものではありませんので対象外の債権となります。

4.したがって、実質的に債権が消滅している場合(所基通51-12)により貸倒損失の可否を判定することになります。この場合は貸金の全額の回収ができないことが明らかになった時とされていますので、S社の財産状況が不明である現時点においては、貸倒損失の計上はできないと考えます。

※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。

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