一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『法人税の繰り戻し還付について』
令和3年分の修正申告により、納付すべき法人税額が発生しました。遡って、令和4年分の繰戻還付請求を受けることは可能でしょうか。令和3年分の修正申告前の法人税額はゼロでした。
回答
1.法人税に係る「欠損繰り戻し還付請求」は、欠損金の発生した事業年度について、その前事業年度に所得と法人税額がある場合に行うことができます。
そして、欠損金の還付請求は、繰り戻す欠損金発生の事業年度の確定申告書と同時に提出する必要があります。この期日に遅れた繰戻欠損還付請求は無効です。
2.質問事例の場合には、令和4年分の確定申告書の提出と同時に欠損繰戻還付請求をしていませんので、これから還付請求をすることはできません。
3.この質問の趣旨が「還付請求をする時点において、既に修正申告をしており所得金額と法人税額が増加している場合において、その増加した金額を基礎にして還付請求額の計算ができるか」ということであれば、「還付請求する時点において確定している還付事業年度の所得金額」ということですから、修正申告により増加した所得金額を基礎にして還付請求額を計算することになります。
4.参考
・欠損金の繰戻による還付請求に基づいて還付される金額は、「還付すべき金額の算定を行う時において確定している」還付所得事業年度の所得金額を基礎として計算されます。(法人税 決算と申告の実務より)
・「還付所得事業年度の所得金額」の各欄
「所得金額(3)」欄には、還付所得事業年度の所得金額・・ですが、その事業年度について更正が行われている場合には、更正決定通知書の「所得金額又は欠損金額」欄に記載された更正後の所得金額を記載してください。(欠損金繰り戻し還付請求書の記載要領から)
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