最低賃金平均1,000円超え 企業の7割が賃上げ対応
令和5年度の最低賃金に関して、全国加重平均で41円(4.3%)引き上げ、1,002円とする目安がまとめられ、これにより全国平均で初めて1,000円の大台に乗ることとなりました。その後、都道府県ごとの審議会で議論が行われ、最終的には想定を上回る全国平均1,004円まで引き上げられることが決定しました。
|
改定後の最低賃金の最高額は東京都の1,113円、最低額は岩手県の893円となりました。今年の改定により、東京、神奈川、大阪のほか、埼玉、千葉、愛知、京都、兵庫で最低賃金が1,000円を超えることとなります。
|
実務的には、正社員の月給を東京の最低賃金で換算すると、月23日(1日8時間労働)働けば204,792円となり、22日労働で195,888円となります。よって、東京においては月給20万円でも月によっては最低賃金を割りこむことになりますので注意が必要です。
|
具体的な対応策としては、「もともと最低賃金よりも高いが、賃上げを行う」(46.5%)が最も高く、次いで「最低賃金よりも低くなるため、賃上げを行う」(25.0%)が続き、最低賃金の引き上げを受けて「賃上げ」を行う企業は約7割に達しました。
|
現時点で従業員を採用する時の最も低い時給について尋ねたところ、全体平均は約1086円となりました。現状の最低賃金(961円)からは125円高く、23年度の目安である全国平均1004円を82円上回っています。
|
一方、東京商工リサーチの調査では企業の15.9%が最低賃金の引上げを許容できない(引上げ余地0円)と回答しました。人件費高騰での倒産も増える中、人手不足における採用難と相まって、企業は賃上げに対してどう対応するか、厳しい判断を迫られます。
|
人手不足、人材不足への対応は、特に地域の中小企業にとって最重要課題になっています。今後IT化、デジタル化の波にどう対応するか、その中でより良い人材の獲得は、給与の設定にも大きく絡んできます。難しいかじ取りが続く中小企業経営に、少しでもお役立てできるよう、JPBMは士業連携を一層強化しながら、中小企業の経営ニーズに対応します。
|
|
|
|
【事例相談④】有価証券の評価損が 認められる場合について
*JPBM実務相談サービスの質疑応答事例の中からご紹介します。
|
【質問例】 株式会社A社は、30年前から取引先のB社の株式(非上場株式)を1,000株所有しています(所有持株割合:3%)。 帳簿価額50,000千円ですが、直前の株価が8,000千円まで下がっています(10年以上株価が業績不振により低迷)。 この場合、法人税法の「有価証券の評価損が認められる場合」の「…有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が悪化したため、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと」の、「著しく低下」とは、例えば帳簿価額と比較し時価が何%下落したら損金算入(特別損失計上)可能でしょうか。
|
因みに、会社更生法などの法的手続きはありません。今後も継続して業務を行っている会社です。現在の配当還元価額は、1株865,5円になります(B社からの報告)。 【解答例】 1.非上場の有価証券について評価損が計上できる事実として「その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと」があります(法人税法施行令68①ロ)。
|
これに関する法人税基本通達9-1-9(2)で「発行法人の1株当たり純資産価額が当該有価証券を取得したときの発行法人の1株当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと」とされています。
|
従って、概ね、純資産価額で比較して50%以下になった時には評価損が計上できると解釈できます。
|
2.注意すべきは、取得時点と評価時点の1株当たりの価額は、「純資産価額」のよることとされている点です。法令68で「法人の資産状態が著しく悪化したため」と規定されていることから考えて、純資産価額で比較すべきことは明らかです。
|
従って、株式の所有割合が3%と少額だからといって、配当還元方式によることはできないことになります。というのは、支払配当は、一般的に会社の資産状態に関係なく会社の決定により行えるからです。支払配当の額は、会社の資産状況を反映しているとは必ずしも言えないことによるものだからと考えます。
|
3.会社の帳簿価額について ・株式の帳簿価額は1株当たり50,000円と見積もられますので、額面価額での発行と想定されます。これがその時点での時価を反映したものであればよいのですが、仮に何らかの事情があって時価よりも高額で引き受けたのであれば、その要素を除外して取得価額の純資産評価額を算定することが必要と考えます。
|
※直前の株価が8,000円とありますが、算定方法はどういう計算をしたのでしょうか。配当還元による価額を純資産価額と同一視して扱うことはできません。
|
|
JPBMからのご案内
|
会員限定情報プラットフォーム「侍サロン」 最新実務掲載情報のお知らせ
※敬称略 (1)第30回経営データ活用検討会(8月7日収録)【動画】
|
(2)JPBM会員意見交換会2023年(7月20日収録)【動画】
|
(3)第29回経営データ活用検討会(7月18日収録)【動画】
|
(4)第28回経営データ活用検討会(6月14日収録)【動画】
|
(5)第27回経営データ活用検討会(4月20日収録)【動画】
|
(6)第26回経営データ活用検討会(3月17日収録)【動画】
|
(7)第25回経営データ活用検討会(2月10日収録)【動画】
|
(8)第24回経営データ活用検討会(1月13日収録)【動画】
|
(9)第23回経営データ活用検討会(12月16日収録)【動画】
|
(10)JPBM全国統一研修会(11月22日収録):「コロナ禍の中での中小企業経営と専門家の役割」代表理事・高田坦史【動画】
|
(11)JPBM全国統一研修会(11月22日収録):「苦境に立つ地域宿泊業の事業承継および再生等の課題と対策ポイント」
|
◆講師・課題作成:JPBM会員・税理士 山原裕也 ◆講師・JPBM会員 弁護士 権藤健一【動画】 ※コロナ禍で苦しむ旅館ホテル業の承継をM&Aや組織再編等の手法で総合的多角的な提案を求められた事例の検証
|
(12)JPBM全国統一研修会(11月22日収録):「医療法人(病院)の「持分なし法人」移行等の課題と対策ポイント」 ◆講師・課題作成:JPBM会員・税理士 公認会計士 松田紘一郎◆講師・JPBM会員 税理士 内野絵里子 ◆JPBM会員 特定社会保険労務士 原子修司【動画】 ※地域で実績のある小病院の「持分なし法人」移行の依頼に多角的方面の目配せや必要な規定整備、税務、コンサル等の提案
|
(13)JPBM全国統一研修会(11月22日収録):「現在進めているJPBMの取り組およびこれからの展開について他」【JPBM事務局・動画】 (14)JPBM経営支援オープンセミナー(11月10日収録):「利益計画から返済計画を15年間シミュレート、伴走型顧客支援の最強ツール演習セミナー」 ◆講師・システム作成:JPBM会員 税理士 西野光則 ◆講師・(株)宮沢財務管理オフィス 代表取締役 宮沢賢 ※ウイズコロナの中小企業経営における利益計画および返済計画のシミュレーションの実践を具体的ツール活用を通じて演習解説
|
|
OSS会員研修等のご案内
|
発行人情報
• 編集・発行元:一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会
|
• 英文名:Japan General Incorporated Association of Professionals for Medium and Small Sized Business Management Ltd.(JPBM)
|
• 〒102-0092 東京都千代田区隼町3-19 清水ビル3階
|
• TEL: 03-6261-3121(代) / FAX: 03-6261-4520 / Email: info(at)jpbm.or.jp
|
• このメールマガジンはJPBMの会員、セミナー、サービス等をお申し込み・ご案内させていただいた方へ、お送りしています。当アドレスは送信専用ですので、ご返送なさならないようお願い申し上げます。
|
• 当メールマガジンへのお問い合わせは info@jpbm.or.jp まで。
|
|
|
|