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労使間の争い2件-最高裁 それぞれ原審に差し戻し
最高裁判所において、4月後半に連続して労使間トラブルの判決が出されましたが、使用者側、労働者側それぞれ勝敗が分かれる結果となりました。
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まずは労働者側の主張を認めた判決として、被上告人に雇用されていた上告人が、被上告人から職種及び業務内容の変更を伴う配置転換命令を受けたため、同命令は上告人と被上告人との間でされた上告人の職種等を限定する旨の合意に反するなどとして、被上告人に対し債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求等を主張した事案があります。
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上告人は、財団法人Aに、福祉用具センターにおける改造および制作並びに技術開発職として雇用され、その後、財団法人Aから権利義務を承継した被上告人である公的施設の社会福祉センターとの間で、上告人の職種および業務内容を現在の技術職に限定する旨の合意を交わしていました。
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その後被上告人は、上告人に対し、その合意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命じました。原審は、被上告人が本件配置命令をする権限を有していたことを前提として、権利の濫用とはいえず損害賠償請求を棄却。
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それに対して最高裁は、労働者と使用者との間で、職種や業務内容を限定する旨の合意があった場合、使用者には、個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命じる権限はないとし、原審の損害賠償請求に係る部分を破棄し、再度の審理を原審に求め、差し戻しました。
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一方、使用者側勝訴判決として、上告人に雇用されていた被上告人が、上告人に対し、時間外労働、休日労働および深夜労働に対する賃金の支払いを求めたのに対し、上告人は、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」(本件規定)に当たるとして、所定労働時間労働したと主張し争われた事案。
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被上告人は外国人実習実施者に対し、月2回以上訪問指導を行うほか、来日時等の送迎、日常の生活指導やトラブルの際の通訳等の業務に従事。被上告人は訪問の予約やスケジュール管理を自ら行い、貸与された携帯電話は使用されていませんでした。
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タイムカードの労働管理はなく、業務日報の提出確認を受けていました。原審は、賃金請求を一部認めるべきとし、労働時間把握は容易ではないものの、業務日報の確認によるある程度の正確性の担保、および残業手当の支払いの一部事実もあり、本件規定に当たるとは言えないと判断。
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最高裁は、件業務は多岐に亘り、直行直帰も許され、随時具体的に指示を受け報告することもない状況から、事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易だったとは言い難いとして、業務日報の正確性の具体的な検証もないまま、その報告のみを重視した本件規定に対する判断には違法があるとして、敗訴部分を破棄し原審に差し戻しました。
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中小企業における労使間の争いは、社内的に十分に整備管理されていない就業規則や管理体制に伴って、使用者側に不利な判決が出やすい傾向にあります。是非JPBM本部経由にて、経験豊富な所属弁護士会員にご相談ください。
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