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[コラム] カンボジア便り

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私はカンボジアの首都プノンペンのホテルでこの原稿を書いています。こちらではタイ・バンコクの事務所の小川と武井の2名と行動をともにしています。カンボジアを訪問した目的は日系の中小企業が進出する場合のビジネス環境を見極めたいことと、現地での起業にあたりカンボジアの行政手続きなど仕組と申請方法を確認し進出支援に役立てたいためです。

今回は現地の行政官庁と事前にアポを取ることが難しかったため、正直申し上げてどの程度目的を果たすことができるかどうか若干の不安が無いわけではありませんでした。しかしそれは取り越し苦労であったようです。現地に入り2日間が過ぎましたがここまで企業進出の際に必要なノウハウを順調に集めることができています。

その要因は二つあります。

一つはバンコクのスタッフの機転の効いた判断、行動力です。私が言うのもなんですが、タイで既に18年間日系企業の進出支援をしてきた経験はいかんなく発揮されています。頼もしい限りです。会話は英語ですが癖のある発音も難なく理解しコミュニケーションがとれています。

二つめの理由はカンボジア人の人柄に助けられていると感じることが多々あるということです。一例としてMinistry of Commerce (商業省)での応対についてご紹介します。

会社設立申請は、海外進出にあたり最初の申請手続といってよいものですから避けて通れません。我々が馳せ参じた商業省は行政の本丸、日本の霞ヶ関にあたります。たらい回しにされることも覚悟しつつ、申請書の記入方法から必要な添付書類の説明を受けたくその旨伝えると、先ずは近くの窓口で簡単な記入方法の説明を受けるところからスタートしました。更に不明点や申請料について質問を重ねると、予想外の展開となりオフィスの奧へ奧へと通され、ついにはフロアの一番奧にあるいかにも位の高そうな人のデスクの前まで案内されました。さすがに多少緊張しましたが、しかしそれもほんの一瞬。その方の丁寧で親切な対応ぶりに驚かされるとともにそれはカンボジア人の一面を知った瞬間でもありました。たった2日経過しただけですが様々な場面での同様の対応ぶりに好印象をもっています。

一方で役人への賄賂の横行もまかり通る国という一面も見逃すことはできませんが、この国は過去の自国民大虐殺という忘れることのできない歴史を背景にして現在があります。他に例を見ないほどの多くの有能な人材を失った国のハンディは決して軽いものではないでしょう。しかし、この国の発展を願い真面目に働く人々がいる限り明るい未来が待っていると信じてやみません。

 

新潟中央会計税理士法人(「所長の目」第126話より)