一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『給与の経費計上日の変更の処理について』
この法人について、当期より売上と同様に発生基準による会計処理に切り替えたのですが、その結果13か月分の給与の額が当期の費用に計上されております。
回答
1.法人税法上費用の帰属時期については、期末時点で「債務が確定している」ことが要件とされています。「債務の確定」について次のように規定されています。
①期末までにその費用に掛かる債務が成立していること
②期末までのその債務に基づいて役務などの給付をすべき原因があること
③期末までにその金額を合理的に算定できること
(法人税基本通達2-2-12:債務の確定の判定)
2.月末締めで翌月支給の給与を発生月の経費として計上できるかという問題がありますが、上記の「債務の確定」の要件をすべて満たしていると思われますので、その月の経費として計上することができると考えます。というよりそちらの方が本筋かと思います。もちろん、支給日基準とすることにも問題はありません。前期の6月の給与が当期の経費に認められるのは当然で、むしろ当期の6月の給与を当期に経費計上してよいかが問題になるかと思います。
3.質疑事例にみられますが、給与規定では給与の計算期間が毎月21日から翌月20日と定めている場合、3月21日から3月31日までの給与を日割り計算してその期の損金に算入することが認められていることからも、その期の経費計上が認められると思います。
4.経費の計上基準の変更によって、変更した事業年度においてたまたま13ヶ月になりますが、変更の事業年度には必ず発生するものですで、問題はないと思います。
また、給与は必ずいずれかの事業年度の経費になるものですから、弾力的に考えて差し支えないと思います。
5.役員報酬についても日割り計算をするわけではありませんので、従業員給与と差別する理由はありません。社長も含めて全員分の給与の額が当期の損金に認められる、と考えます。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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