一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答える事例相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『非上場株式の評価に際し非経常的な配当金額、非経常的な利益金額に該当するか否か』
① 固定資産売却益
当該法人は、大正13年の会社設立依頼、所有している土地を借地人に賃貸し、借地人からの依頼があれば、底地を売却等しています。頻度としては2年に1 回程度ですが、時として2 年連続売却する場合もございます。
なお、当該法人は、事業目的として「不動産の売買及び賃貸管理」をあげています。この場合の固定資産売却益は、非経常的な利益金額に該当しますでしょうか。
一方、国税庁の質疑応答事例(財産評価)では、自己株式の取得によるみなし配当金額は、1株当たりの配当金額に含める必要はない(会社情報の剰余金の配当金額には該当せず、将来毎期継続することが予想できない金額に該当するため)とありますが、今回、毎期継続して行う予定であり判断に迷っております。
この場合の有価証券売却益は、非経常的な利益金額に該当しますでしょうか。また、自己株式の取得によるみなし配当は、非経常的な配当金額に該当するでしょうか。
回答
基本的に立つ位置としては、会社事業の本業であるかどうかではなく、将来にわたって継続することが予想されるかどうかが、判断の基準になると考えます。
①の土地売却益に関して
2 年に1 回程度の土地の譲渡であり、しかも自己が固定資産として所有している土地の譲渡です。また借地人から売却の要望があって譲渡するもので予測できません。
これらを考えると、非経常的な利益金額に該当するとしてよいと考えます。
②子会社株式の譲渡に関して
・形態からすると、今後15 年程度毎期発生する、すなわち利益の発生が予め予想できますので、非経常的な利益には該当しないと考えます。
・自社株式の買い取りにより発生するみなし配当は、貴社の株式を譲渡する株主にとっての所得であるみなし配当ということです。貴社にとっては「配当とみなされるもの」を支払った資本取引に過ぎません。会社としては配当を支払い、その原資が利益積立金であるということです。従って、会社の所得金額には関係しない取引ですので、所得金額から控除する話はそもそも成立しない話です。
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