一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『相続税における小規模宅地の評価減の適用について』
相続税の確定申告を行うに当たり、下記の状況です。
1.被相続人甲は2016年に亡くなりました。
2.相続人は長男 乙、長女 丙、二女 丁、二男(故人)の代襲相続人 戊の4名です。
3.甲は4件(A、B、C、D)の土地を有しており、かつて土地Aに一人で居住していました。
4.甲は数年前から老人ホームに入居しており、老人ホームで亡くなりました。
5.甲は老人ホームを退所することができた場合には長男乙の居住する家屋に同居する予定でした。
長男乙の居宅は土地Bの上に立っている家屋Bです。
土地Bは甲と乙で共有しており、その共有持分は甲10分の3 乙10分の7です。
家屋Bは甲と乙で共有しており、その共有持分は甲10分の4 乙10分の6です。
6.不動産の相続に関して、
(ア)土地Aは丙が相続しますが、土地Aの上の家屋に居住はしません。
(イ)土地Bは乙が相続し、相続開始前より継続して居住しています。
このとき、土地Bを特定居住用宅地として小規模宅地の評価減の適用を受けられますでしょうか。
回答
措置法施行令第40条の2第2項に定める事由により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等で、特定居住用宅地等の対象となる「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等」として認められるものは、当該事由により居住の用に供されなくなった直前の被相続人の居住の用に供されていた宅地等に限られます(措法69①)。
ご照会の被相続人甲が老人ホームに入居する直前に居住の用に供してた宅地は土地Aであり、土地Bは被相続人甲が老人ホームに入居する直前に居住の用に供してた宅地ではありませんから、土地Bは特定居住用宅地等には該当しません。
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