一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『有姿除却の可能性について』
製造業を営む法人A社は3月決算法人です。
この度、所有する工場を閉鎖し、解体することになりましたが、解体のスケジュール上3月末までに完了することが困難な状態です。
そこで、工場の期末帳簿価額(約4,000万円)を有姿除却することは可能でしょうか。解体は完了しないものの、解体の事実は年度内にも確定し、解体に着工するため、法基通7-7-2に謳われているとおり、有姿除却は可能と解釈しております。この見解についての可否はいかがでしょうか。
また、この際、帳簿価額は今年度内、解体に要した費用は来期となり、一連の解体に係る税務処理が、2事業年度に渡ることになりますが、この点につき留意点等もあれば、併せてご教示いただければ幸いです。
回答
1.有姿除却できる条件
法基通7-7-2(1)では、今後事業の用に供する可能性がない状況にある固定資産については除却損として損金の額に算入できる取扱いになっています。
本件が、3月末までに工場が実際に閉鎖されており、再開する可能性がない場合は、3月末までに解体が完了しない場合でも有姿除却は可能と認められます。
2.解体費用の損金計上の時期
解体費用はその金額が確定した事業年度に現金の額に算入することになり、除却資産の帳簿価額を除却損として計上する時期とは別処理となります。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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