一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『取得した土地の地中埋設物撤去費用について』
不動産賃貸管理売買業を営む法人において、この度土地建物を購入し、建物については購入間もなく解体し、更地にして今後売買するか賃貸とするか考慮中ですが、建物解体中に地中にコンクリート等の地中埋設物が発見され、その撤去に約200万円程の費用がかかりました。
この撤去費用は、建物解体費用と同様に、土地の取得費用に加算となるのでしょうか。
あるいは、土地を通常の利用に供する為の費用として、損金処理してよろしいものでしょうか。
地中埋設物の存在は、引き渡し後に認識したものです。また、土地の瑕疵担保として売主に費用請求する旨の契約条項はなく、請求するつもりもありません。
回答
1 購入した土地の区分
法人税法では、一般に不動産売買業者が所有する土地は棚卸資産となり、その取得価額は、購入代価、取引費用、付随費用等で構成すると規定されています(法令32①1)。
購入した棚卸資産の取得価額は、その購入代価及び積極的にその価値を増加させるために要した費用と適正な損益計算的立場から、当期の損失又は費用とすることが適当でないものは取得原価とすることとしています。
この場合、購入対価が不相当に低い場合には、その低い購入対価とその棚卸資産の取得の時における価額との差額は、いわゆる贈与を受けたものとなり、不相当に高い場合には寄附の問題が発生します。
2 本件の場合
売主と買主(不動産賃貸管理販売業)との関係及び購入代価が客観的に決められたものかどうか不明ですが、一般にいう第三者間の取引で、地中埋設物の存在が売買成立後発見されたものであり、購入価額がいわゆる時価相当額であれば、撤去費用が土地の価額を増加させるための費用とはならないので、取得価額に加算する必要はなく、撤去完了時の費用として差し支えないと認められます。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
※JPBMへの経営相談をご希望の方は、下記フォームよりお問合せください。