一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『親子会社で共同支出したソフトウェア関連の取扱いについて』
A社とA社の100%子会社であるB社において、以前自社利用目的でA社グループ仕様のソフトウェアを共同で導入いたしました。その際の支出金額については、各々のアカウント数において支出金額を按分し、その按分金額を各々で負担し、各々でソフトウェアとして資産計上し以後毎期償却しております。
この度、そのソフトウェアに係る費用(サーバー入替費用、データ移行費用、ソフトウェア機能修正費用等)として約1億円支出いたしますが、その支出金額について、ソフトウェア導入時と同様に各々のアカウント数で按分(A社:80%、B社:20%)し、各々で負担する予定です。
そこで以下3点についてご質問いたします。
【質問】
1 支出金額の按分基準は各々のアカウント数で問題ありませんでしょうか。
もし問題がある場合、どのような按分基準を採用すればよろしいでしょうか。
2 ソフトウェアに係る費用の処理は、下記の通りでよろしいでしょうか。
①サーバー入替処理:資産計上(器具備品:耐用年数6年)
②データ移行費用、機能修正費用:費用計上(修繕費)
3 上記A社とB社間の取引において、税務上留意すべき点はありますでしょうか。
回答
1 支出金額の按分基準
法人税法では、公益法人等が収益事業と非収益事業を行っている場合の費用又は損失の額の区分経理については、そのガイドラインが基本通達で示されています(基通15-2-5)。
親子会社間の費用等の按分方法については特に規定されていませんが、この通達を参考に親子会社の負担金額を合理的に按分すれば税法上特に問題は生じないと思われます。
本件は、親子会社のアカウント数を基準として按分しているので、その数値の算定時期及び方法等に合理性があれば特に問題はないと思われます。
2 固定資産と費用の処理区分
①サーバー入替処理は、固定資産の取得となり、耐用年数別表第1の「器具備品」「2事務機器及び通信機器」「電子計算機」「その他のもの」の5年に該当します。
②機能修正費については、その内容は不明ですが、原状回復であれば修繕費に該当しますが、新たな機能の追加・向上等に該当するときは、その修正等に要した費用は、資本的支出に該当することに留意する旨が取り扱われています(基通7-8-6の2))。
3 親子会社間の取引において税務上留意すべき点
一般的には、費用の負担区分をする場合、常に第三者間の取引を想定して決定することを心がけるべきです。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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