一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『親子法人間の解体費用の負担に係る処理について』
法人Aは法人Bの100%子会社です。
法人Aは建物及び土地を12億円で取得しました。この建物は将来取り壊しをし、新たな建物を建築する目的で取得したため、この時点での会計処理として法基通7-3-6を適用し、建物の取得価額も土地の取得価額に算入いたしました。
その後、法人Aが建物の取り壊しにかかるところで、新たな建物は親法人Bが建てることに話しが変わりました。
更に、新たな建物を建築する際に旧建物の解体費用が5,700万円発生することとなりましたが、新築費用及び解体費用も含めて、親法人Bが負担する旨の申し出がありました。
本来、旧建物の解体費用は現所有者である子法人Aが負担すべき費用であることから、この解体費用は親会社からの寄付に該当するのではないかと思われます。また、旧建物は将来解体する目的が明らかであったことから、解体費用は子法人Aの土地の取得価額に算入すべきであると考えておりますが、この費用を親法人Bが負担する場合、子法人Aの土地の取得価額を増加させる必要はあるでしょうか。またその他、何か処理が考えられるでしょうか。
以上のことから、親子間における、解体費用の税務会計処理及び親及び子法人それぞれの仕訳処理について、併せてご教示いただけないでしょうか。
回答
1 法人Aが取得した土地の取得価額
土地を利用する目的であることが明らかな場合、その建物の取得価額及び取壊費用は土地の取得価額に含める取扱い(法基通7-3-6)になっており、その後の事情により取壊費用を他社(法人B)が負担することとなった事実とは別問題と認められます。
2 借地権の発生
法人Bは法人Aの土地に自己名義の建物を建築することにより、権利金(借地権)の授受の慣行のある地域では、借地権が発生することになります。(この点の事実関係は不明)
借地権の設定に伴い権利金を授受することになりますが、その授受がない場合は認定課税が行われることになります。
権利金の認定課税を受けないためには、
①相当の地代に授受
②土地の無償返還に関する届出書の提出
の方法があります。
3 解体費用の取扱い
法人Bは、借地権の発生により「権利金」及び「普通の地代」または「相当の地代」を法人Aに支払う義務が発生するので、解体費用はその金額相当分の一部の支払と考えることができます。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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