一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会(JPBM)では、会員専門家どうしの相互支援体制を構築し、質の高い専門家実務の提供を目指しています。ここでは、会員の疑問に高度な知見を持つ専門家が答えるFAX相談より1例をご紹介いたします。類似の事例に直面したとき、又は予防策としてご参考にしてください。
相談
『無償で自社サービスを台風の被災者に提供する場合の税務上の取扱いについて』
A社は農業機械の販売・整備等を行っている法人ですが、この度台風により農業機械の冠水等の被害を受けられた被災者に対して、被災者支援の一環として急遽無償での整備・点検会を開催することとし、開催する旨の広告を台風襲来の1週間後の新聞に掲載しました。そして、台風襲来の10日後に無償整備・点検会を開催したところ多くの被災者が来場され、無償で整備・点検いたしました(工賃部分が無償サービス。部品交換等の実費は被災者負担)。無償サービスに係る工賃相当額は約1,000万円でしたが、その工賃相当額については、収益の額と費用の額をそれぞれ同額計上する予定です。
この場合、その費用の額(無償で自社サービスを被災者に提供する場合の当該無償提供に要する費用の額)は、「モノ」の提供ではなく「サービス(役務)」の提供に係るものですが、法人税法基本通達9-4-6の4の規定【自社製品等の被災者に対する提供(寄付金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金算入)】の適用を受けることができますでしょうか。
回答
法人が自社製品等を被害者に提供した場合の税務上の取扱いについては、法人税法、租税特別措置法の基本通達で規定されていますが、更に、「義捐金に関する税務上の取扱いFAQ」として令和元年9月国税庁から発表されています。
「サービス(役務)」の提供が法基通(9-4-6の4)に定める自社製品等に含まれるか否かについては、具体的な定めはありませんが取扱いの趣旨からして、ここにいう自社製品等の提供に含まれます(「法人税基本通達逐条解説」参照)。
※内容はあくまで限定された情報に対する参考見解となります。税務、会計、法務およびその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家へご相談ください。
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